辺境にて

南洋幻想の涯て

よく働きよく食べる


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 山頂の前線基地から谷を目指す。雨が降ったり日が射したり忙しい天気だ。

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 よく道にあるやつがなんと切り株に生えていた。触っても動かないので根を張っている様だ。これまで人工物だと思い込んでいたが実はキノコだったのかもしれない。 


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 現場入り口に停めてある社用車で休憩をとる。弁当を買うのは基本的には今日で最後のつもりなので豪華な600円のにした。ドライカレーは作り置きもできるので真似しても良いかもしれない。その後寒さに耐えながら昼寝をする。

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 午後遂に谷底に着き谷底手前にもブルーシートの拠点を作る。休憩中に良い事を聞いた。ここから離れた場所にある最終処分場へ行き、そこを守っている髭の男に幹部の一人の名前を出せば状態の良い廃棄家具をもらえるかもしれない。更に別の幹部からは、三月に行けば転勤になる教員が捨てた状態の良い自転車がたくさん出るとの情報を貰った。行き方も聞いたので憶えておこう。


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 翌日は、内地で登山をしていた頃購入したが結局一度も使わなかったアイゼンを持っていった。弁当も作った。今日も社長は来ない。幹部に聞いてみるとこの現場には出禁になっているそうだ。幹部連中は真面目だから社長不在のまま任されているらしい。よくわからない。

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 アイゼンのおかげで根に捕まって腕力だけで上り下りしていた様な急斜面でも踏ん張りが効く様になった。私は山頂のユンボからワイヤーを持って谷、最後は更に次の山の中腹まで何十往復でもするのでとても重要な事だ。幹部たちも興味がある様でアイゼンについて色々聞く。

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 谷底の木を引き揚げるにつれ塹壕の様な溝が出てきた。環濠集落の遺跡発見かと色めきだったが、昔のパルプ道(切った木を運ぶ道)ではないかとの事だった。牛馬で運んだ時代の道かもしれないそうだ。今日は終わりだというので山頂に戻る前に中腹で少し休憩をする。今まで気がつかなかったが山の向こうに海が見える。この仕事をしたから見られた景色。危険だが山に入るのは好きだ。

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 しかし明日からまた3日仕事が無いと聞かされてがっかりした。お金がない。

 

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 帰りの定期船で船舶照明を見上げる。こういうのをマリンランプという。校長室は海辺を意識したインテリアにしていきたいので今照明の無いところはこれが良いかもしれない。照明は5箇所付けるところを1箇所しか付けられていないので夜はあちこち暗い。お金がないが最低限必要なものだから仕方がない。言い訳を見つけては欲しいものをすぐ買ってしまう。

 長年使っているiPhone7+も画面がヒビだらけになっている。バッテリーに至っては著しい劣化とまで表示されてしまった。大体30秒に1%づつバッテリーが減る。朝100%でも昼休みにはいつも15%前後だ。画面のヒビから大気中に電気が漏れ出しているのではないか。今日の昼などは農林課から電話が来たので通話後そのまま電源が切れてしまった。とりあえず照明とスマホだけは買おう。夜の廊下を風の唸り声を聞きながらランタンを頼りに歩けば灯台守にでもなったような気分になる。

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 しかし良い事もあった。離島側の港で会った他所の集落の遠い親戚から、引っ越し祝いに冷凍肉を買ってあるから取りにおいでと言われた。行ってみるとステーキ肉や豚バラ、鶏など2キロはあった。早速久方ぶりのステーキを晩御飯にする。

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 最初は3枚ぐらいくっ付いているのかと引っ張ったがなんとこれで一枚だ。でかい。

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 トレーから剥がれないのでそのままレンジで解凍する。大きすぎて回らない。テンションがあがる。


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 フライパンに入らないので魚焼きコンロで焼く。フライパンと肉を持って集落の家一軒一軒見せて回りたい。

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 古い道を見つけた?山から海を見た?それがどうしたというのか。そんな事よりステーキだ。心より胃を満たそうではないか。

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