注意:この記事にはグロテスクな画像が有ります。
雨の日などに少しづつ作った、妹所望のナイトテーブルがようやく出来上がった。作っているうちに改良点も見えて来た。次からはバージョンアップした物が作れるはずだ。そしてそれらもネット上の雑貨店で売ろう。
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色んな人に自慢しに行った。帰りにドアにぶつけて少しへこませた。
…と思ってはいるものの、肝心の雑貨店開店計画には何も手をつけていない。
私は準備のいらない事に関しては衝動的に動くのだが、少しでも面倒な事だと腰が重い。領収書はどうするとか発送の方法はなど考え始めると、また今度暇な時に考えよう。と結論してしまう。まだ店名すら決まっていない。
そして暇があればついゲームをしてしまうので、商品も小皿以降何も集らない。今はウギ(サトウキビ)仕事も終わってしまったので、畑以外は遊んでばかりだ。
魚があれば生きられるのでやる気が湧いてこない。最近は全然釣れないが。世の中うまくいかないものだ。
夏の小遣い稼ぎ、マンゴーは今年は全滅してしまった。去年も出荷時期に合わせて台風が来たので出荷できず、ほぼ収入になっていない。
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色々な事が重なってマンゴー園は瘴気の谷になった。
農業自体にはこうしたリスクが常に付きまとう。だから畑の他にも保険としての収入源を持つべきなのだ。同じ籠に卵を入れるなとかそんな格言も聞いた事がある。リスク分散だ。そしてそれを今やらずしていつやるのだ。
と思っているだけのある日。アマゾンの人を送って軽トラでアクトクへ行く事になった。
その道中。消滅した神の子集落からアクトクへ至る海岸で、大きな木材が漂着しているのを見つけた。何かに使えそうだ。
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アマゾンの人によるとこの辺りには色々な物が流れ着くらしい。浜に降り、幾つかの廃材と流木を見つけた。これで何か作れないだろうか。部分的に流木を使用した椅子、なんてどうだろう。アマゾンの人に手伝ってもらい、それらを荷台へと積み込む。軽トラを再発進させる。程なくしてアクトク集落に入る。
アマゾンの人はポリタンクを手に入れた。
地域の為によく働くアマゾンの人は、アクトクでだんだんと信頼を得ていっている様だ。シシの解体なんかも手伝うらしい。私も手伝えば肉など分けて貰えるそうだから、アマゾンの人についてきてもらい、古豪の猟師に挨拶をしに寄った。
猟師の家の前で軽トラを停める。ノックをしたが留守の様だ。凶暴な白犬しか居ない。アマゾンの人の先導で裏へと回る。そこはヒンジャ(ヤギ)舎になっていた。初めて来た。そして秘密の園のその中心で、古老が仔ヒンジャにミルクを与えている。育てて売るのだろう。
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この古豪の猟師とは路上のバーベキューで何度も会っており、私が罠猟師の資格を取れば、技術を伝授してくれると言っている人物だ。シシ肉も何度も食べさせてもらっている。解体の件をお願いして帰った。
この日アクトクではいつもながら路上バーベキューをしていた。お頭やその兄が寄って行けと言うので少し寄り、肉を食べさせてもらった。シシ、豚、ウインナーと色々な肉が有る夢の世界。特に牛肉は久しぶりだ。牛肉は高価なので口にできるのは数ヶ月に一度、誰かにご馳走してもらった時にほぼ限られる。
二時間ほど楽しみ、アマゾンの人含むアクトクの人々に別れを告げて帰った。話し相手の居なくなった車内であれこれと、さして重要でもない考えが去来を始める。
──店名の「辺境雑貨店」は、辺境という単語が島民に失礼なのではないか、と今更思い始めたので不採用だ。まあ島民は誰も当日誌を読んでいないから怒られる心配は無いか。だが念のため今後もコメント欄はオフにしておこう。私は外圧に弱いのだ。
──アマゾンの人に、ネットショップを計画していると打ち明けた時、彼も興味がある様子だった。動物の頭骨なんか飾りとして売れるかも、と言ってみたら藪に捨ててあったシシの頭骨を呉れた。犬が齧って真っ二つであったが。これはどうしよう。
どうしよう。
──さらにヒンジャの角も呉れた。しかもありがたい事に肉が付いていた。食べよう。
アマゾンの人は不便なアマゾンの僻地で暮らしていただけの事はあり、農具でも何でも有り合わせの物で作ってしまう。自然環境の利用にも長けており、駆除したティンダリ(カタツムリ)で作ったオムレツの写真も見せてもらった事がある。
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アマゾンの人は手製の鍬一本で土地を開墾し、広い田んぼを作ってしまった。肥料袋で作った土嚢で水路の樋まで作ってある。只者ではない。
シシの肉以外の部分の利用も相談してみた。革の鞣し方も知っているというから、牙のアクセサリー以外にも何か作れそうだ。凄い人だ。辺境雑貨店(仮)の商品考案について、とても頼もしい相談相手ができた。
そうだ彼を讃えて店名はアマゾンが良いだろう。辺境感を感じさせながらもそんな失礼な事言っていません外国の地名です、と逃げる事もできる。