辺境にて

南洋幻想の涯て

ミステリーサークル

 校舎Cの屋上に上り校庭を見下ろす。ミステリーサークルが出現している。

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 役場に報告するため写真に納めた。

 昨日。

 滝の集落のMさんから、レゲエのイベントに誘われた。私はレゲエのみならず音楽の楽しみ方が解らないが、他ならぬMさんの誘いなので出かける事にした。


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誘いといえば、オーシャンリゾートな宿の塩作り体験に誘われたので行ってきた。面白かった。

 イベントは18時からなので、ギリギリまで夏の校庭管理をした。それからバイクのオイル交換をして廃校を出発する。

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 西の港を過ぎ、海沿いを走る。とても気持ちが良い。やがて山の方へと折れるとその先に滝の集落がある。こちらへは滅多に来ることがない。

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 滝の集落を過ぎれば、先ほどと反対側の海へ出る。ここがスコモ集落である。製塩所が有り、海水から作っている塩が美味しい。

 ここの学校へは、去年のミカンコミバエ駆除のバイトで一度だけ来たことがある。私の住む学校よりも広くて立派だ。ここも現在は廃校になっている。島には子供が少ないので、生きている学校よりも廃校の方が多い。


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今年も駆除のバイトがあった。

 6時、あたりはまだまだ明るい。主催の一人であるMさんの弟、Lさんが挨拶をした。Lさんは名字であり、名前はこの時初めて知った。

 校庭はスコモ集落の住民を中心にたくさんの人で賑わっている。子供達が笑いながら走り回っている。学校もさぞ嬉しいだろう。

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 いつの間にか柱にもたれて立っていたMさんに、私のいる廃校もイベントなどに使えば良いのにね。と言いかけてやめた。そうなったら静かに暮らせないし最悪私は追い出されてしまうかも知れない。


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電気まで点く。

 今夜は島唄とレゲエのリラックスした夜になった。Lさんは一緒に仕事をした事もある人だし、何よりMさんの弟なので、片付けを最後まで手伝って帰った。

 

 翌日。

 魔王に呼ばれヒョウ集落の廃校へ行った。

 私のウシキャク校校庭管理の仕事は私一人の仕事なのだが、依頼元の町の財産管理課から、個人には委託できないのでグループという事にしてくれと言われた。仕方がないから魔王フルーツ農園の通帳を借りて振り込んでもらっている。


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 やがていつの間にか魔王とその彼女(?)も、私とは別のヒョウ集落の廃校の校庭管理を請けていた。魔王と彼女(?)が2人仲良くやっている分には勝手なのだが、前述の通り農園の名前を使っているので、私も理由をつけて召喚されかねない。その場合、どうせ私は1円も貰えないだろう…と危惧していたが、仲良く2人でやっているようだ。

 そんな中、新し物好き魔王は新兵器を入手してきた。ヒョウ廃校へ呼ばれたのは、使い方の説明を一緒に聞いてくれという事らしい。

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ヒョウの廃校も大きい。

 荒れた校庭には説明のお兄さんと魔王の彼女(?)が立って居た。魔王は新兵器「乗用モア」に乗っている。乗用モアは草刈り機能付きゴーカートである。一緒に説明を聞き、使い方や注意事項を学ぶ。

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スーパー魔物カート。

 最初に私の校庭管理を手伝ってやると言うので任せた。正直、魔王たちとはなるべく距離を置きたいのだが断るとうるさいので仕方がない。しばらく後、金はとらんから、と魔王は付け加えた。私はよっぽど嫌そうな顔をしていたようだ。

 軽トラへ乗用モアを積み込む。このカートは公道を走れないのだ。そうしてウシキャクの校庭まで運ぶと、魔王はカートへ乗り込み、校庭をぐるぐると回り始めた。


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 みるみるうちに幾何学的、というにはあまりに不細工な図形が描かれていく。役場提出用に作業中の写真を撮っておく。

 魔王が真剣な顔をしてカートで走るのが面白かったが笑うと怒られそうなので、こちらに向かってくる時は真面目な顔をし、去る時に笑顔で見送った。

 魔王が引き上げたので、乗用モアで刈れなかった端の方や校舎裏を刈る。なんとか5時過ぎに全て終わった。

 6時までにはバイクのオイル交換を済ませてレゲエイベントへ行かなければならない。もう遅刻するかの瀬戸際だ。

 だから校舎C屋上からの完了写真は明日にしよう。上から見るときっと面白い図形が出来ているに違いない。楽しみだ。