辺境にて

南洋幻想の涯て

着ぐるみの親方


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フスマ紙を剥がしたベニヤにペンキを塗ったが明るすぎて気に入らない。

 


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あと乗せのバスタブを動かし、打ちっぱなしになっている浴室コンクリート部分に塗ってみたら良い感じだった。フスマにはもっと落ち着いた色を買い直しだ。

 

 安定した暮らし向きでもないのにすぐネットで無駄遣いをしてしまう。安定した暮らしといえば校庭の車中泊ホームレス?はまだ居るがこの校舎からは距離をとっており、別に何もして来ないので私も構わない様にしている。集落で廃校のトイレを綺麗に維持しており更に水も出るので居着いたのだろう。

 区長が追い出さないので案外話はついているのかもしれない。引き換えに夜間学校に通っていた猪は不登校になった。

 

 バイクのチェーンが伸びきって外れる様になった為本島に交換しに行かなければならない。それに日雇いの幹部が今回の給料を呉れると言っていたので貰わねば。久しぶりに本島へ行く事にした。船の都合で西の港から渡った。食料品も買い込んでおこう。

 

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チェーンを金色にしてみた。高かった。白と金色は相性が良い気がする。でもそんな事は富裕層に任せておくべきだ。

 

 給料は貰いそびれた。幹部がいくら電話をしても社長が出ないそうだ。また朝まで飲んで眠っているのだろう。しばらく本島へ来る用事は無いが仕方ない。ちょうど船の時間が来たので諦めて離島へ帰った。

 帰りの船で着ぐるみの人と一緒になった。西の港で行き来すると彼とよく出会う。着ぐるみの人は森林組合に属しており、林業関係のもう一名と共に私をしきりに事務員にしたがっている。事務員がみつからないと組合は消滅してしまうらしい。

 事務員は給料に見合わない仕事で誰もやりたがらないと聞いているのでいつも全力で断っている。それにスュリの畑も継がなければならない。

 今フリーだから事務員以外何でもやるのでよろしくお願いします、と売り込んで電話番号を伝えたらその夜早速連絡があった。しかも私の居る離島側でひと月は食いっぱぐれないらしい。良かった。

 

 翌朝指定の場所へ行き働く。メンバーが違うが仕事は普段通りだ。木にワイヤーを掛けたり運んだり。

 今回の親方である着ぐるみの人と私、あともう1人、親方が自分の集落から呼んできた重機とツッコミを担当する人足の計3名で進める。行動してから考えるタイプの着ぐるみ親方に重機から冷ややかなツッコミを浴びせ倒すのは聞いていて面白い。

 ただこの親方も余り周囲を見ずに鎌でも何でも振り回すのでそこは気をつけなければならない。当たれば洒落にならない。

 因みに重機の人は数時間遅れて来た。親方が重機を借りるのを一度断られたからだ。リース会社に貸すのを拒否されるなんて初めて聞いた。前金を積んだりしてどうにかしたらしい。

 

 弁当を作って行ったが昼食はソーキ丼をご馳走になった。確かに直情的な失敗は犯しそうだが親切で良い人物だと感じた。

 


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今回の仕事も指定の範囲内の木を切ったり草を刈ってさっぱりさせる事。施主指定の木(デイゴ等)は残す。

 午後、仕事を再開してすぐに親方のスマホに電話があった。詳しくは書くことができないが最近のある無法が露見し、然るべき所へ罰金を納めることになったらしい。

 それ以降親方はその話しかしなくなり、その後一時間ほどで次第に仕事が手につかなくなり始め、まだ3時だったが解散になった。

 

 まだ二度しか会っていないのに会う度に伝説が増えていく。こんなに目が離せない人物もそうは居ない。今回の仕事、巻き込まれない程度に楽しんでいこう。

 

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借り物の愛用の鋸。手入れもされておらずさっぱり切れない。スキルの無い私は登山で培った体力だけが売りだ。