辺境にて

南洋幻想の涯て

骨肉

 内地の叔父叔母が工具と一緒に食料品を送ってくれたので分けてやる、来い。と魔王から電話があった。喜んで貰いに行った。

 

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パイの実もあったが撮影をまたず食べてしまった。

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甘いお菓子には目がない。

 後日魔王に会った時、食料は全部お前宛だそうだから半分持って帰れ、と言うので追加で持ち帰った。自分のでは無いと判っても半分、それも自分の好きな物を取った残り半分を寄越すなんて本当に魔王だ。

 しかし自分宛でなかったと言った時の哀しそうな顔を見てしまったので何も言えなかった。親子で食料の奪い合いをしなければならないなんて哀しい世界だ。

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世界の半分を貰った!

 


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 日曜日。また山賊のお頭が肉を食べさせてくれるというので屋敷へ行ったが誰も居ない。お頭の屋敷の他、荒れた敷地には風雨を凌げそうな物からほぼ骨格だけになったものまで四つ五つあずまやのような木造の建物がある。昔は一族皆で住んでいたのだろう。

 手前の残骸に居た人懐っこい犬と共に肉の帰りを待った。庭の奥には燻り狂う犬も居たが近づかないようにした。

 40分後、お頭は見知らぬ人を連れて帰ってきた。お頭の兄との事で、出鱈目な事ばかりする弟にたくさん説教をした。炙りの時は始まり、重機とツッコミの人も加わり、お頭は打たれ放題になった。今回の焼肉は路上ではなく荒れた庭で執り行った。


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 肉を焼いたり酒を取ってきたりと一番下っ端の私が切り盛りをする。ビニール袋に入っただけの謎の肉はバケツ一杯分有る。バケツから庭にあった大皿へ肉をビタビタと移す時は飼育員にでもなったような心持がする。肉の大半は牛のようだ。シシも有る。臓物は誰の物だか判別がつかない。猟奇肉バケツの写真も撮れば良かった。

 骨は犬にやれというので差し出したら粉砕しながら簡単に食べてしまった。犬たちは猟犬との事だった。あまり近寄らないようにしよう。

 月曜は雨で休みになった。どうせ今後なし崩し的にチェンソーを使う事になるのは分かり切っているので免許を取っておこう。本島側北部の教習場へ次の講習の日程を尋ね予約をした。25000円もかかる。三日間もやるから更に宿泊費だ。

 それからこれも痛い出費だがヘルメットも渋々購入する。首が落ちれば痛いどころではないから仕方がない。それに校長室のミシン針は革用ではないから落ちた首を縫い合わせることもできない。

 

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首だけになれば出来る仕事は限られてくる。例えばヘッドホン置き。帽子置き。

 

 今回の現場で稼げる報酬の半分近くは無くなってしまう。