辺境にて

南洋幻想の涯て

感想

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旅路⒏

私は、両親離婚時に祖父母宅へ行くという第3の道を捻出したほどには両親が好きではない。それを隠してもいないが当人たちには多分伝わっていない。別にそれぞれ悪人だとかではなく、幼いわがままさや卑怯さを感じてどうも好きになるのが難しい。 そんな子の…

旅路⒎

山の上の火葬場は景色も建物も美しかった。何もかもが無機質にただそこにあった。離島を出てもう何週間になるだろうか。だが実際はまだ四日しか経っていない。もう予定を切り上げて島へ帰りたいと思った。 私は葬儀場で三日間、祖母の遺体に寄り添って過ごし…

旅路⒍

「格好良い服着てどうした」いつもの定期船の船長にからかわれる。 「ちょっとオーサカに遊びに」私は答えながら100円玉4枚を手渡した。乗り合わせる顔ぶれもいつもと同じ。二言三言雑談をして定位置に座る。 今年も年末年始、大阪への長い帰省の旅に出る。…

別れ

突然だが、当「辺境の日誌」は次の年度末で終わりになった。 最近、役場から一通の封筒が届いた。そこには、私の住んでいる校長室の管轄が教育委員会から総務課に変わると言う事、それに伴ってもう賃貸としての運用は辞めるという事が書かれていた。 学校は…

難破船は今日も辺境に夢を見る

今日も雨。樵は休み。 雨の日は(気が向けば)魔王のビニールハウスでマンゴーを手伝うことにしている。だから最近はまた魔王に会うことが増えた。陰気な魔王はあまり話しかけると「お前はよくしゃべるな」と嫌がる。私だって他に話し相手がいるなら話しかけな…

空穂船 ゼノフォビア

今夜は「アクトクを盛り上げる会予行演習」なのだそうだ。この会は今から少し前、山賊のお頭の突然の思いつきで始まった。 それを聞かされた時は宴会をたいそうに言い換えたのだと思った。つまり冗談だろう。ただの乱痴気騒ぎに立派な名を付けましたね、と感…

死と蒼穹

注意:この記事には動物の解体の描写が含まれます。また、狩猟並びに動植物を食べる事の是非に言及するものではありません。

廃校タワーディフェンス

その過剰な忠実さと友情の押し売り、盲目的な連帯への信仰が、クモの糸のように主人公を窒息させてしまうのだ。「友達」たちは、終始、犠牲者の立場をよそおいながら、そして主人公は、あたかも加害者の立場に立ちながら、結果はまったく逆になってしまうの…

黒糖と白百合

エッチ虫が減り始め、入れ替わりにアブが増え始める。百合が咲いている。 百合を見ると去年の見合い話を思い出す。

会計、店の女

今年一番の引き潮の中、K丸は無事に接岸した。無事に接岸しているうちに桟橋の階段を急いで降り船に飛び移る。同時に船は後退し、彼岸のクニャの夜景へ向き直った。

旅路⒌

妹からのプレゼントで一泊二日の浜名湖旅行へ行った。鍾乳洞や砂丘、湖畔を観てまわった。10歳も離れた妹とはケンカをする事がなくずっと仲が良い。

旅路⒋

尼崎の友人Kと会う。彼は子供の頃神戸に住んでいた神戸っ子だ。阪神淡路大震災で家が潰れ、それから大阪で育ったのだ。

旅路⒊

夜はまた友人と飲みに出かける。今回は10日も滞在するので旧友たちとできる限り会う予定にしている。

旅路⒉

離島ではそこで手に入らない相当種類の品々がネットでの購入になる。画像を見るだけでの買い物だから思っていたのとは違う、という事もよくある。先月などはスケジュール帳のつもりで買った物が日記帳だった。大したスケジュールも無いのでそのまま使ってい…

旅路⒈

朝。魔王に、キュウワヒギュッサヤー。と声をかけた。魔王も、ヒギュルサヤ。と返した。魔法攻撃の応酬ではない。

カゲロウの島

よく釣魚を食べさせてくれるお頭の兄が来年の初夏まで大阪へ行く。自分で自分の送別会をするそうだ。誘われたので参加する。

アクトクジャングルパーク 下

次に記憶に残っているのは藪の中だ。何故かトラボルタとアマゾンの人と三人で荒野の一本道を歩いている。ああそうだ、消滅した神の子集落を探しに来たのだ。

さよならマーズピープル

近頃は日雇いの帰りにスュリの畑へ寄り、日没まで農作業をしている。こうしなければ日曜日に畑に出ろと魔王に言われるからだ。できれば週に一日ぐらいは休みたい。だから疲労した体に鞭を打って畑へ寄る。

業

マンゴーの剪定が終わったので畑は一段落した。また日雇いへ行っている。魔王の農業は口は出しても日当は出せない文化祭の出し物レベルだ。本人は真っ当な生業のつもりでいるようだが。

火

夕方、火を眺めていると生意気イケメンのHから遊びに行って良いかとラインが来た。最近彼は週に2、3回は遊びに来る。余程暇らしい。

ネリヤ辺縁

ネリヤにいながらにしてネリヤにいない。

名画

この島の年寄りはとても元気だ。90歳代でも一人暮らしをし、畑までやっている人もいる。

繕い

「綻び 中」の様な内容の物を書くと自分の触れたくなかった内面と向き合う事になるので正直に言えば書いていて辛い。しかしその冒頭に始めた捜し物はどうやらその触らないようにしてきた引き出しの中に入っているようだから開けねば仕方がない。

綻び 中

廊下の天井から雨漏りがしている。 白い腕の見合い相手はシャイなのだそうだ。相手方からそう伝え聞いた。だから私から声をかけるのを待っているのだそうだ。

綻び 上

山賊のお頭はいつまでもスペアタイヤ(わざわざ油性マジックで氏名を書いている)を装用しており漁船のような音を立てて走っている。早く替えるべきだと皆で進言しているのだがスペアタイヤの方が丈夫だから良いと言い張って聞かない。 朝食はじゃがいも1個半…

着ぐるみの親方

フスマ紙を剥がしたベニヤにペンキを塗ったが明るすぎて気に入らない。 あと乗せのバスタブを動かし、打ちっぱなしになっている浴室コンクリート部分に塗ってみたら良い感じだった。フスマにはもっと落ち着いた色を買い直しだ。

タンカン

スュリの土地に去年植えた自家用の野菜類は少しづつ収穫し大事に食い繋いでいる。特にブロッコリーとカリフラワーが美味だ。サラダやスープ、また肉と一緒にオイスターソースで炒めても好い。

辺境にて 上

ここ数日、日中は農業や林業で働き、夜間は12時まで校長室の床を紙やすりで擦るという暮らしをしている。床さえ完成すれば荷物を搬入し、ここへ移る事ができる。早く移って久方ぶりの独りの時間を満喫しよう。渡海時に知らず失った自分の時間。床を磨き続け…

外界製の歯車

ここへ来て最初の年が終わる。 魔王の熱帯果樹農園と老後を手伝いつつ自分の人生も楽しもうと期待を持って来島したが、彼の変わらぬ、むしろ老化で磨きのかかった独裁者ぶりにそんな期待は裏切られてしまった。弟妹は島へ渡るのを止めてくれていたが私も魔王…