辺境にて

南洋幻想の涯て

繕い

 「綻び 中」の様な内容の物を書くと自分の触れたくなかった内面と向き合う事になるので正直に言えば書いていて辛い。しかしその冒頭に始めた捜し物はどうやらその触らないようにしてきた引き出しの中に入っているようだから開けねば仕方がない。

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 捜し物をしながら文章に変換していくと中身がいつの間にか整理されて正面から向き合う形になった。予想外だった。言葉は誤魔化しのきかない固有の意味をもつ物だから気持ちを縫い留めていくともう逃げ出すことができない。

 中、下と大まかに書いたものの陰鬱すぎて読み返す気にもならなかったのでそのまましばらくは放置していた。見合いと言われただけなのに勝手に随分な深傷を負ったものだ。

 それでもまた少しずつ推敲していくとやがて文章の肉を纏って澱が現れた。「綻び 中」を書いていて見つけた、引き出しの底に居た呪う子供。

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 しかしその存在に気がついたお陰で彼にも光が当たり「綻び 中」を完成させた後にはかなり弱体化してほぼ無害になっていた。こうして引き出しの整理が終わったお陰でウデ白さんをドライブに誘う事ができた。つまりは前に進めた。

 そして「綻び 下」は殻により強固に閉じこもるか出ていくか選ばなければならない、という結末であった当初から大幅に書き換わり、ドライブに行く下りを書く事ができた。更には綻びを繕いに行くなどと言う「立ち向かう」行動で終わったがこれは最初の「何もせず悩んでいるだけ」の終わりとは雲泥の差だ。因みに雨漏りは何とかなった。

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 文でも絵でも何らかの手段を以て自分の内面を正直に表現するのは治療行為として機能する場合があるのだろう。素直に喜び驚いている。

 思えば年始に魔王との関係が改善したのも書きながら彼我について客観視ができた為だったのかも知れない。あれも呪い一辺倒で終わる筈で書き始めたものが予想外の展開になり一定の理解という結びになった。

 

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